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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科48巻2号

1994年02月発行

今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか

ARTの基礎

4.精子の受精能をどう理解するか

著者: 星和彦1

所属機関: 1福島県立医科大学産科婦人科

ページ範囲:P.142 - P.144

文献概要

 精子の機能とはいうまでもなく,受精すなわち卵子と融合して新しい個体を発生させ,雄性の遺伝情報を確実に次世代に継承することである.
 受精は,精子が機械的に卵子に進入するという単純な現象ではなく,二つの配偶子の対等な関係からなるさまざまなプロセスを必要とする複雑な現象であり,両配偶子には受精のための準備とタイミングのよい遭遇が必要とされる.射出直後の精子は形態学的には完成(成熟)しているし運動性もあるが,卵に受精できる状態にはない.雌性生殖管を上昇していくに従いcapacitation,acrosome reaction, hyperactivationといういわゆる受精能が獲得され,受精現象が進行することになる.受精能はある程度in vitroの培養液の中で引き起こすことも可能で,ヒト精子の方がむしろ実験勤物のよりも誘起が簡単な面もあり,これが哺乳動物の中では体外受精が比較的早く成功した要因になっている.しかし,より高度なassistedreproductive technologyには,これらの反応の人為的なコントロールがさらに要求される.主として実験動物から得られた知見をもとに,そのコントロール法について考察してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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