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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科48巻2号

1994年02月発行

今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか

ARTの実際

11.培養条件に関する注意点

著者: 野田洋一1 広瀬雅哉1 山本嘉昭1 後藤康夫2

所属機関: 1滋賀医科大学産科婦人科 2京都大学医学部婦人科学産科学

ページ範囲:P.159 - P.163

文献概要

 ヒト体外受精・胚移植法およびその関連技術,いわゆる assisted reproductive technology(ART)は技術改良とともに急速に普及し,いまや不妊治療の現場で欠くべからざる治療手段となっている.しかしながら,その成功率(生産率)は必ずしも満足すべきレベルに達しているとは考えられない.成功率向上のためには種々の改善が必要と考えられるが,胚培養法もその一つであろう.実際 ヒトの体外受精胚を胚盤胞にまで培養することは難しく,途中で胚発生停止や発育遅延を起こすことが知られている.この胚発生停止や発育遅延の現象は,ヒト胚に限ってみられる現象ではなくて,哺乳類初期胚を体外培養した場合,種普遍的にみられる現象である,とくに,マウスにおいては主として2細胞期で胚発生が停止するため,“in vitro 2—cell block”と呼ばれ,30年以上も前から多くの研究者の研究対象となってきた.この現象はけっしてin vivoではみられないことから,この現象が起こる原因を解析することは,とりもなおさず初期胚発生に及ぼす卵管,子宮内環境の解析につながり,さらにヒト体外受精・胚移植法における理想的な培養法の開発につながるものと考えられる.そこで本稿では胚発生停止現象がなぜ起こるのかということの解析を通して,胚培養条件の注意点を探ってみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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