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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科48巻3号

1994年03月発行

文献概要

今月の臨床 IUGR診療 IUGRの病態

8.胎盤の物質輸送

著者: 工藤美樹1 武田佳彦1

所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科

ページ範囲:P.276 - P.278

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 胎児はその成長に必要な構成素材やエネルギーなどの栄養代謝物質のすべてを母体に依存して成長するが,これらはすべて胎盤を介して母体血中より胎児血中へ供給されている.したがって,この部位における代謝物輸送の機能により胎児の成長や成熟が制御されている可能性があり,機能低下により子宮内胎児発育遅延(IUGR)が生じると考えることができる.本稿では,IUGRにおける胎盤でのアミノ酸輸送機能について論じる.
 胎児へのタンパク質の供給は主にアミノ酸の形で行われており,これらアミノ酸を素材にして胎児は自己の成長に必要なタンパク質を合成する.ヒト胎児血中アミノ酸濃度に関してはこれまでにかなりの報告があるが1),ほとんどのアミノ酸は母体血中より胎児血中でその濃度は高くこれらのアミノ酸は,胎盤の能動輸送機構によって濃度勾配に逆らって母体側から胎児側に輸送されていると考えられている.実際にヒト胎盤絨毛細胞の母体循環に面する側の膜である刷子縁膜と胎児循環に面する側の膜である基底膜から別々に膜小胞を調製しアミノ酸輸送系の解析を行うと,小腸や腎尿細管吸収上皮と同様にナトリウムイオン勾配によって輸送が促進されるナトリウムイオン依存性輸送系と影響を受けないナトリウムイオン非依存性輸送系が存在することが判明している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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