文献詳細
薬の臨床
文献概要
循環障害が病態の本質である動脈硬化,狭心症,心筋梗塞,脳血栓症,妊娠中毒症などではPGI2・TXA2陰陽バランスが乱れ,TXA2優位への偏移が病態形成の一因と考えられている.TXA2合成阻害剤は選択的にTXA2の合成を阻害してPGI2・TXA2陰陽バランスをPGI2優位に改善できるため,前述した諸疾患の治療に有効と考えられ臨床応用されている.内科領域では,心筋梗塞発症早期の梗塞巣の縮小化や気管支喘息の気道過敏性の抑制に有効であった.脳外科領域では,脳血栓症における虚血時の血小板凝集,血管収縮を抑制し,循環障害の軽減に有効であった.産婦人科領域では,妊娠中毒症の治療,予防目的に投与され,とくに子防効果は優れており,低用量アスピリン療法の無効例に対しても有効であった.副作用は長期持続点滴による静脈炎以外は見られず,母児双方に対して安全な薬剤と考えられる.
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