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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科48巻7号

1994年07月発行

カラーグラフ 遺伝講座・1

—遺伝形式がはっきりしている—先天異常とその反復性について

著者: 鈴森薫1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部産科婦人科

ページ範囲:P.829 - P.831

文献概要

 全新生児の少なくとも5〜5.5%は,遺伝的要因が重要な役割を果たす先天異常や疾患に罹患しているか,あるいは生涯のどこかで罹患するとみられている.生涯で遺伝的要因が関与した先天異常や疾患に罹患する新生児の割合をみてみると,単一遺伝子の異常によるもの:1%,染色体異常:0.5〜1%,部分的に遺伝要因の関与する奇形:2.5%,体質的疾患:1%である.
 さて,これらの資料をもとに,わが国でこのような先天異常児がどのくらい出生しているかを見てみると,最近の年間全出生児数を120万余として試算してみると図1のようになる.このうち,メンデル遺伝形式のはっきりしている先天異常は,1個の遺伝子の変異により生じた病的形質をもつ単一遺伝子病で,年間約12,000名生まれていることになる.ヒトの染色体は46本あり,22対の常染色体と1対の性染色体のXとYからなっている.常染色体上の遺伝子座にある遺伝子は常染色体遺伝,性染色体上の遺伝子座にある遺伝子はX連鎖遺伝をする.一つの遺伝子座には1対の対立遺伝子があり,それぞれの対立遺伝子は親の配偶子の1個の対立遺伝子由来であり,個体の遺伝形質は1対の対立遺伝子の組み合わせで決まる.遺伝様式は,常染色体優性遺伝,常染色体劣性遺伝,X連鎖遺伝の3つに大別される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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