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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科48巻8号

1994年08月発行

今月の臨床 胎盤—母児接点としての役割

物質のトランスポート

5.物質輸送様式

著者: 工藤美樹1

所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科

ページ範囲:P.966 - P.968

文献概要

 胎児はその発育に必要な構成素材やエネルギーなどの栄養物質のすべてを母体に依存して成長するが,これら栄養物質はすべて胎盤を介して母体血中より胎児血中へ供給されている.ヒトの胎盤は血絨毛性胎盤で胎児側の組織である絨毛は直接に母体の血液に接しており,胎児血液との間には絨毛上皮細胞,結合組織,胎児側の血管内皮細胞が存在している(図1).したがって母体側から胎児側また逆方向に物質が輸送されるにはこれらの細胞層を通過する必要がある.この絨毛上皮細胞の母体血に面する側は小腸上皮,尿細管上皮刷子縁と同様に微絨毛構造を有しており,この部位に物質輸送のための特異的な膜輸送機構が存在していることが予測されていた.
 胎盤における物質輸送機構解明には従来,妊娠母獣に放射標識された物質を注入しその胎児側への移行を測定するin vivoによる方法,in vitroにおける胎盤灌流実験,絨毛組織片をインキュベートする方法などが試みられてきたが,詳細な輸送機構の解明には不十分であった1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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