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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科48巻8号

1994年08月発行

今月の臨床 胎盤—母児接点としての役割

物質のトランスポート

6.ガス交換

著者: 鈴木伸明1 岡村州博1

所属機関: 1東北大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.970 - P.971

文献概要

概念
 胎児の成長するためのエネルギーはすべて母体から供給され,その中で母児間のガス交換は胎盤を接点として行われる.母体からの血液は,子宮動脈かららせん動脈を経て絨毛間腔に入り,噴水状に絨毛を還流しながら子宮静脈に戻る.臍帯動脈からの胎児血は絨毛で酸索化されて臍帯静脈に移行し胎児に入る.胎児では全循環血漿量の1/2強が胎盤循環に供給される.この母体—胎児間のガス交換はFickの法則に従った単純拡散によって行われる.
 また,ガス交換は交換系の血液性状にも依存している.母体血と胎児血ではヘモグロビンの性状が異なり,HbFはHbAより解離曲線が左方に移動しているため,同一飽和度を得るための酸素分圧に差があり,胎児血の方がはるかに低く,多くの酸素が胎児血側に移行される.その結果,胎児の血液酸素分圧は27〜29mmHgと,母体の約1/3の値で極端に低いが,酸素親和性の強いHbFにより飽和度は高く,胎児に特有な短絡路を通して各臓器へ供給される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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