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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科48巻8号

1994年08月発行

文献概要

今月の臨床 胎盤—母児接点としての役割 ホルモン産生と代謝

11.ステロイドホルモン

著者: 野口有生1 野嶽幸正1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院産婦人科

ページ範囲:P.983 - P.985

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 胎児のステロイド環境は,胎生期の初期においては主に絨毛および母体の卵巣機能に依存しているが,胎児の発育つまり胎児の視床下部・下垂体・副腎・肝臓などの各器官および胎盤の形成発達により自律性・特色を出してくる.そして妊娠経過において著変するステロイドホルモンはエストロゲン・プロゲステロンである.非妊娠時に比べ妊娠末期においてはエストロゲンが500〜1,000倍,プロゲステロンが10〜50倍に増加する.最も大きな量的変化を示すエストロゲンについてみると,胎盤におけるエストロゲンの産生・代謝における特徴は,前述のように妊娠中大量に分泌されることと,特殊な生合成経路をもつことである.胎盤は単独ではエストロゲンを合成できず,エストロゲンの原料であるDHAは胎児副腎から分泌され,胎児肝臓と胎盤の双方の酵素の働きをうけてエストロゲンに合成されるため,この胎児と胎盤を合わせた生合成系を「胎児胎盤系」と呼んでいる.また産生された大量のエストロゲンの90%はエストリオール(E3)で最終的には母体尿中に排泄されるためこれを測定して胎児・胎盤機能検査として臨床応用されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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