原著
多施設による閉経および卵摘に伴う骨量変化の検討—椎体骨折および腰背痛との関係を中心として
著者:
太田博明18
牧田和也18
隅田能雄18
池田俊之18
増沢利秀18
小武海成之18
佐藤博久28
小林英郎38
清水謙一48
大森茂58
中村英世68
山岡完司78
野澤志朗18
所属機関:
1慶応義塾大学医学部産婦人科
2国家公務員共済組合連合会立川病院産婦人科
3北里研究所病院産婦人科
4練馬総合病院産婦人科
5聖母会聖母病院産婦人科
6東京都済生会中央病院産婦人科
7国立東京第二病院産婦人科
8慶應大学産婦人科更年期医学研究会
ページ範囲:P.1037 - P.1043
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近年高齢化社会の到来とともに骨粗鬆症への関心が急速に高まっているが,本症はとくに閉経後または卵巣摘出後の女性に多発する疾患である.そこで今回,多施設での産婦人科外来受診者430名を対象として,椎体骨折の有無,腰背痛の有無および慈大式分類とMD/MS法による骨萎縮度などの検索を行い,相互の関係について検討した.その結果,未閉経群と閉経群とでは,骨量の減少に明らかな差異が認められたが,腰背痛を訴えた患者が必ずしも明確な骨量減少を伴うことはなかった,なお,自然閉経群と卵巣摘出群との間には骨量減少に差異は認められなかった.また,骨折のある群と骨折のない群との間には,慈大式分類およびMD/MS法ともに骨萎縮度に差異が認められた.閉経期にある女性は骨粗髪症の予防が何より重要であるが,椎体骨折リスクの鑑別に慈大式分類およびMD/MS法は簡便かつ有用であることが示唆された.