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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科48巻9号

1994年09月発行

今月の臨床 婦人科医のためのオステオポローシス

治療と予防 骨増加療法

21.カルシウム製剤

著者: 阪本知子1 荻田幸夫2

所属機関: 1大阪市立北市民病院産婦人科 2大阪市立大学産婦人科

ページ範囲:P.1134 - P.1136

文献概要

 骨粗鬆症患者における血清カルシウム(Ca)は正常範囲内に保たれていることが多い.それは生体の恒常性維持機構により,副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH),Calcitonin(CT),ビタミンDなどが,血清Caを一定に保っためにCa代謝を調節しているためである.血清Caが低下すると副甲状腺の機能が亢進し,PTHの分泌が増加し,骨においては破骨細胞による骨吸収が促進される.また、血清Caが低下するとCTの分泌が低下し,骨吸収を抑制するCTの作用が失われ,骨吸収はさらに亢進する.
 したがって,血清Caを一定に維持することが,骨粗鬆症の予防,治療につながるものと考えられる.血清Caは,Ca摂取,腸管からのCa吸収,尿中Ca排泄などに左右され,なかでもCa摂取不足は骨粗鬆症の危険因子として広く知られている.Ca摂取量の少ない地域では,多い地域に比較して,明らかに低い骨塩量と高い骨折率の傾向を認めるという報告があるが,実際に骨粗鬆症患者のCa摂取量を調査しても健常人との間に差を認めないことが多く,またCa摂取不足と骨粗鬆症を直接結びつける証拠はなく,一定の見解が得られていないのが現状である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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