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今月の臨床 CTかMRIか—婦人科腫瘍読影のポイント 子宮腫瘍
4.頸癌浸潤度(側方,膀胱直腸浸潤)
著者: 高橋康一1 吉岡増夫1 中村幸雄1
所属機関: 1杏林大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.34 - P.41
文献購入ページに移動CTとMRIが,ともに子宮頸癌の浸潤度の評価において有用であることはすでに報告してきた1,2).しかしながら,CTでは頸癌組織と正常頸部筋層の間にdensityの差がなく,両者の識別を行い得ないのに対し,MRIではT2強調画像において,low intensityな正常頸部筋層とhigh intensityな癌組織を明瞭に識別し得,この違いが診断に決定的な影響を及ぼしていると言える(図1)3).
本稿では具体的な症例を提示する一方,われわれのCTとMRIによる側方浸潤,膀胱浸潤の正診率を示す.その結果は後に述べるように,癌が子宮頸部を越えて広がった場合の進行度評価においては,予想されたほどの差が,CTとMRIの間にないことを示していたが,経験から言って,診断の信頼度という点に関しては,MRIの方がかなり高いと言わざるをえない.
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