文献詳細
今月の臨床 CTかMRIか—婦人科腫瘍読影のポイント
卵巣腫瘍
文献概要
CTかMRIか
卵巣原発の腹膜偽粘液腫は,卵巣粘液性腫瘍の特殊型で,上皮の異型が乏しいにもかかわらず,粘液の浸潤が腹腔内に広範囲に認められ,緩徐な進行を示すまれな疾患である.卵巣の粘液性腫瘍そのものを診断する場合,CTとMRIの診断学的優位差はつけ難い.粘液性腫瘍は主として多房性の嚢腫を形成し,各小房内の信号は,CTでは+20単位程度に,MRIではT1で低信号,T2で高信号に描出される(図1,2).腹膜偽粘液腫では腹腔内への粘液の貯留が主となるために必ずしも上記の所見を呈さないと思われるが,まれな疾患であるため画像診断の報告はほとんどない.自験例を供覧するが,初発症状から12年が経過している典形的な腹膜偽粘液腫の症例である.
図3は1984年4月(開腹前)のCT像であるが,+30〜40単位程度のCT値を有する均一な物質(粘液と思われる)が腹腔内全体に充満しているのが認められる.粘液性腫瘍のような多房性の所見は認められない.
卵巣原発の腹膜偽粘液腫は,卵巣粘液性腫瘍の特殊型で,上皮の異型が乏しいにもかかわらず,粘液の浸潤が腹腔内に広範囲に認められ,緩徐な進行を示すまれな疾患である.卵巣の粘液性腫瘍そのものを診断する場合,CTとMRIの診断学的優位差はつけ難い.粘液性腫瘍は主として多房性の嚢腫を形成し,各小房内の信号は,CTでは+20単位程度に,MRIではT1で低信号,T2で高信号に描出される(図1,2).腹膜偽粘液腫では腹腔内への粘液の貯留が主となるために必ずしも上記の所見を呈さないと思われるが,まれな疾患であるため画像診断の報告はほとんどない.自験例を供覧するが,初発症状から12年が経過している典形的な腹膜偽粘液腫の症例である.
図3は1984年4月(開腹前)のCT像であるが,+30〜40単位程度のCT値を有する均一な物質(粘液と思われる)が腹腔内全体に充満しているのが認められる.粘液性腫瘍のような多房性の所見は認められない.
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