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CURRENT CLINIC
産婦人科医における乳房検診—乳癌を見落とさないために
著者: 荻野雅弘1
所属機関: 1帝京大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.135 - P.142
文献購入ページに移動 戦後の社会構造は急速に変化し産婦人科医にも大きな影響を与えた.多産多死から少産少死へと分娩数は激変し,性器癌は先人の努力により手術や放射線療法による治療成績が向上したこと,啓蒙運動により早期癌の発見頻度が高くなり死亡率は減少した.また内分泌分野では体外受精の成功は不妊症の人々には福音となったが,この社会環境の流れは産婦人科医に斜陽化を招いた.産婦人科医の活性化を考えた故荒井教授は,日本の医学はドイツ医学を学び現にドイツの産婦人科医が乳癌を取り扱っているにもかかわらず何故日本の産婦人科医が取り組まなかったのかの疑問,また乳癌がホルモンの標的臓器で増加の一途を辿る疾患であることから,1986年教室員に国内研鑽さらにドイツ留学を命じられ,種を蒔かれた.その後教室を継がれた森教授の指導により乳腺腫瘍は治療まで行っている.これまで外科医に受診できなかった乳腺の女性の悩みを診て,乳腺診療は産婦人科の活性化の明るい材料につながるものと確信している.
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