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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科49巻10号

1995年10月発行

文献概要

今月の臨床 初期治療60分—産科救急 出血

5.弛緩出血

著者: 天野完1

所属機関: 1北里大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1364 - P.1365

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迅速診断のポイント
 胎児および付属物娩出後の止血機転は主として子宮洞筋の収縮による血管結紮(生物学的結紮,biological ligation)により,500ml以上の異常出血の多くはこの機転の障害,すなわち子宮弛緩症(弛緩出血)が原因となる,原因は多岐にわたるが,①付属物遺残,②物理的な子宮筋の過度の伸展(羊水過多,多胎など),③子宮内圧の急激な変化,④微弱陣痛,⑤子宮収縮剤,麻酔薬,早産防止薬などの使用,などが誘因となる.
 分娩後に暗赤色の出血が持続する場合には弛緩出血を念頭に置いた速やかな対応が必要になる.子宮体部は柔軟で子宮底の上昇がみられるが,用手的に子宮腔内を検索し,胎盤,卵膜遺残のないことを確認する.超音波断層法による検索も有用である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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