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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科49巻11号

1995年11月発行

今月の臨床 無排卵—病態と治療をめぐるトピックス

効果的治療法の選択

22.テルグリドによる高プロラクチン血症の治療

著者: 森田豊1 堤治1 武谷雄二1

所属機関: 1東京大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1542 - P.1543

文献概要

 高プロラクチン血症は,乳汁分泌をもたらすと同時に,排卵障害による無月経や不妊を招来する.この高プロラクチン血症の治療薬として,従来よりドパミン作動薬が広く臨床応用されてきた.ドパミン作動薬は,下垂体前葉のプロラクチン分泌細胞のドパミン受容体を刺激してプロラクチンの分泌を抑制するため,高プロラクチン血症に起因する排卵障害,下垂体腺腫や乳汁漏出症などの疾患に対して有効であると知られている.しかしながら,中枢のドパミン受容体へも作用するため,悪心,嘔吐などドパミン作動薬特有の強い消化器系副作用を生じ,服用が困難な患者が存在するという問題が依然として残されたままであった.
 テルグリドは,麦角アルカロイドのイソリゼルグ酸誘導体(図)で,下垂体前葉のドパミン受容体に対しては強力な作動作用を示すが,中枢のドパミン神経系での作用は弱く,部分作動作用(partial agonist)を示すことが知られている.したがって,従来のドパミン作動薬に比して,より少量で十分にプロラクチン分泌を抑制するのみならず,ドパミン作動薬に特有の副作用を軽減し得るものと期待されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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