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カラーグラフ 微細血管構築とコルポスコピー・9
浸潤癌(扁平上皮癌)
著者: 奥田博之1
所属機関: 1岡山大学医学部産科婦人科
ページ範囲:P.1585 - P.1587
文献購入ページに移動 癌の間質への浸潤の程度が進むにつれて上皮下毛細血管網の破壊も大きくなる.その結果,Punc—tation, Mosaicという上皮側突出血管構築の破壊は進行して形骸化し,乏血管および無血管領域が出現する.さかんな血管増生は認められるものの,癌巣の増殖力が優っているために新生血管は本来の効率的な分岐や吻合を行えず,圧排され,集簇し,太さ,走行、形態,分布など血管構築の面からはまったく秩序性のない状態を呈し,破壊と新生を繰り返しながら,ますます血流障害を増大させるという悪循環に陥っていく.このような変化をコルポスコピーでは極端に拡張した血管や吻合のはっきりしない走行のとぎれた血管の出現として把えることができる(図1).図2では乏血管領域に横走する血管が特徴的である.図3は最表層部にみられた拡張血管であるが,この血管からさらに細い血管が多数突出分岐しているのが観察される.図4では表層部で上下に凸凹のある突出血管群が互いに圧迫されて壁を形成しており,その様子は図5の側面像で一層明らかになる.このような状態では基底部毛細血管網と突出血管群の識別はもはや不可能となる.図6は外向性発育をした浸潤癌のコルポスコピー像である.
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