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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科49巻12号

1995年12月発行

文献概要

今月の臨床 いまなぜ“胎児仮死”か

胎児仮死の発生はどう変わったか

著者: 工藤尚文1

所属機関: 1岡山大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1590 - P.1593

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 「いまなぜ胎児仮死か」なるテーマが取り上げられた背景を考える時,一つの理由として周産期医療に携わる人々の知識の中には子宮内低酸素状態が原因となって胎児仮死が発生し,それは新生児仮死に移行し,さらに放置されると新生児死亡あるいは脳性小児麻痺に至るという考え方が根強く存在している事実がある.もう一つの理由は,胎児低酸素症というエピソードがなくても胎児中枢神経系の機能的あるいは器質的異常のために脳性小児麻痺が発生する,という考えが近年有力視されていることもある.
 かつての産科学は,胎児の健康よりも母体の生命の安全性を優先しようとする考えが強く,分娩は可能なかぎり経腟的に行われることが主流であった.もっとも,胎児の健康を推定するに十分な情報が得られなかったこともあるだろう.その結果,胎児低酸素症が原因となって脳性小児麻痺が発生した可能性はある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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