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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科49巻12号

1995年12月発行

文献概要

今月の臨床 いまなぜ“胎児仮死”か 胎児仮死にどう対応するか 1.母体への対応

1)酸素投与・輸液療法

著者: 森晃1 佐倉まり1 中林正雄2 武田佳彦2

所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科 2東京女子医科大学母子総合医療センター

ページ範囲:P.1632 - P.1634

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 胎児仮死は,その原因は多岐にわたるが,その病態の中心は胎児の低酸素性障害であり,顕性胎児仮死と潜在性胎児仮死に分類される.前者は分娩に際して発症する急性低酸素症であり,後者は胎盤での物質交換機能の障害から慢性低酸素症が持続し,低酸素症に対する胎児の代償機能の限界を越えたために発症するものである.このように,急性と慢性の低酸素症では,その病態には差がないが,臨床経過は非常に異なり,救命を目的とした処置には大きな差がある.
 従来より分娩時の急性胎児仮死に対しては,低酸素状態とアシドーシスの改善のため,母体への酸素投与とブドウ糖,重曹水の投与が広く施行され,さらに羊水補充療法amnio infusionなども行われている1).一方,近年,母体合併症妊娠の増加に伴い,分娩時ではなく妊娠中に胎児仮死に陥る症例が増加してきている.とくに,妊娠中期に娩出を余儀なくされる子宮内発育不全児(IUGR)では、胎児仮死の予防のためにも,胎内治療がきわめて重要となるが,現在なお確立された治療法はない.ここでは,慢性低酸素症に対する補助療法としての母体酸素投与と輸液療法について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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