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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科49巻3号

1995年03月発行

原著

糖尿病合併妊婦におけるカルシウム代謝の検討

著者: 小原範之1 武内享介1 上田康夫1 森川肇1 望月眞人1

所属機関: 1神戸大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.355 - P.359

文献概要

 糖尿病合併妊婦のカルシウム(Ca)代謝動態および新生児低Ca血症の発症について検討した.対象は糖尿病(diabetes mellitus:DM)合併妊婦11例,妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)妊婦4例,腎性糖尿合併妊婦1例であり,新生児はDM合併妊婦から出生した児4例とGDM妊婦の児1例である.DM合併妊婦はインスリン治療と食事療法を行い,GDM妊婦は食事療法のみを行った.
 正常妊婦やGDM妊婦に比し,DM合併妊婦の尿中Ca/Cr比と血清PTH-Cは高値,血清CTは差がなく,血清1α,25(OH)2D3は低値であった.また,平均血糖値の低下に並行して尿中Ca/Cr比が低下した.血清総Caが妊娠中期から減少したDM合併妊婦の新生児に低Ca血症の発症がみられた.以上より,DM合併妊婦には高Ca尿症や血清1α,25(OH)2D3の低値のためにCa平衡が負のバランスに傾いていることが明らかになった.また,母体の血清総Caの減少は新生児低Ca血症の発症に関与している可能性が推測された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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