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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科49巻5号

1995年05月発行

文献概要

今月の臨床 妊娠と血液

5.妊娠とレオロジー(赤血球変形能,白血球変形能)

著者: 江口勝人1

所属機関: 1岡山大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.568 - P.573

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●はじめに
 レオロジーrheologyのrheo—はギリシア語のrheos“流れる”に由来するもので,物質の変形と流動の科学(流動学)のことである.一般に,生体における血液循環は次に示すようなHagen—Poiseuilleの法則に従って成り立つ.ここでPは管の中を流れる流体の圧,ηは流体の粘性,Lは管長,Qは流量,rは管の半径を示す.つまりηは血液粘度.Qは心拍出頃,rは抵抗血管の半径であり,これらが血圧を規定する因子として重要であることがわかる.血液の流動性に影響する因子としては,粘度,ヘマトクリット,赤血球変形能,血漿蛋白(とくにフィブリノーゲン,マクログロブリンなどの高分子蛋白)などが挙げられ,しかもこれらは相互に関連し合っている.血液は多量の血球成分を有する蛋白溶液の流体であるが,最近主要な有形成分である赤血球並びに白血球の変形能力(血小板は硬く変形しない)と循環機能の関係が注目されているため,本稿ではレオロジーの観点からそれらの妊娠時における臨床的意義について解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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