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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科49巻7号

1995年07月発行

今月の臨床 婦人科癌の免疫療法

免疫療法の展望

15.遺伝子導入療法

著者: 加藤聖子1 和気徳夫1

所属機関: 1九州大学生体防御医学研究所生殖生理内分泌部門

ページ範囲:P.868 - P.870

文献概要

 近年,分子生物学の進歩により数多くの疾患の原因遺伝子が同定,単離され,疾患と病因となる遺伝子の関係が明らかになってきた.その結果変異遺伝子を標的とした遺伝子治療の可能性が考えられるようになり,長年にわたり米国を中心に技術的,倫理的問題が検討されてきた.1990年に4歳のADA欠損症の女児に対し,外来性ADA遺伝子を発現させた患者自身のT細胞を患者に戻すという合意の得られた遺伝子治療の第1例目がNIHで行われて以来,NIHでは50種以上の遺伝子治療,遺伝子標識プロトコールが,Recom—binant DNA Advisory Committee(RAC)により承認され,現在までに先天性免疫不全症,家族性高コレステロール血症,嚢胞性線維症,悪性腫瘍,AIDSなどに遺伝子治療が行われている.わが国でも1993年4月に厚生省の遺伝子治療に関するガイドラインが公開され,さらに翌年2月には文部省のガイドラインも公開され,厚生省遺伝子治療臨床応用評価委員会が設立されるなどその臨床応用へ向けた準備が進められている.1995年2月,文部省審議会の遺伝子治療臨床研究専門委員会は,北海道大学より申請されていたADA欠損症の4歳男児に対する遺伝子治療を承認した.厚生省の審査会議でも承認され,日本で最初の遺伝子治療が行われる可能性がでてきた.本稿では,遺伝子治療についてその方法論ならびに癌治療(とくに免疫療法)の分野での現況について解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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