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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科49巻8号

1995年08月発行

コラム 新しく始める人へのアドバイス

大学病院における体外受精

著者: 菅沼信彦1

所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院分院産婦人科

ページ範囲:P.978 - P.978

文献概要

 名古屋大学病院では分院産婦人科が不妊症センターとして機能しており,体外受精(IVF)は分院のみで行われてきた.しかしながら,ここ数年本院・分院統合計画が進行しており,昨年度には文部省より「IVFシステム」の予算が認められ,本院でも新たにIVFを開始することになった.そのため,現在そのセットアップに携わっている関係上,とくに大学病院におけるIVFに関して,感じることを述べさせていただく.大学病院(とくに国公立)では,その行政システム上,種々の手続きが非常に煩雑であると言わざるをえない.採卵時の麻酔処置(麻酔科が行うのか,あるいは婦人科担当医がかけるのか:採卵室で施行可能か,手術室で採卵しなければならないのか),ホルモンのラピッドアッセイ(検査部で測定可能か,医局で担当するのか:非契約業者への外注依頼の問題),病院事務(保険外診療費の徴収:IVF処置費の算定),休日診療(土日休診日の診察および処置時の看護体制:看護婦なしで医師のみによる診療が婦人科において許されるのか),などなど,一般病院や通常のARTクリニックでは考えられないような問題点に直面する.分院は大学病院といえども比較的小規模の病院であるため,各部局にご無理をお願いし円滑に回っているが,官僚的大病院では困難も多く,「大学病院でIVFを行う時代は終わった」との意見は,あながち不当ではないかもしれない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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