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コラム 新しく始める人へのアドバイス
IVFとGnRHアゴニスト
著者: 植村次雄1
所属機関: 1横浜市立大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.1018 - P.1018
文献購入ページに移動 IVFは最初は自然周期,ついで卵巣刺激周期,そして現在IVFの70%以上がGnRHアゴニスト併用卵巣刺激周期で行われている.GnRHアゴニスト併用の第1の利点は卵胞成熟のモニタリングの必要性を軽減し,採卵時期をある程度調節でき,採卵時刻の設定が可能なことである.第2の利点として,卵胞期のLH高値は卵胞発育,卵の成熟に有害な影響を及ぼすことから,GnRHアゴニストによる内因性LHの抑制は卵のqualityを高める.また,外因性ゴナドトロピンgonadotropinにより同期性した卵胞発育をもたらす.GnRHアゴニストの投与法としては前周期の黄体期中期よりのlong protocolを用いているが,これによりプロゲステロンprogesteroneによるLH抑制効果も相乗され,また嚢胞形成も少ない.第3の利点として,GnRHアゴニストでhypogonadotropicな状態にして卵巣刺激すると,poor responderのキャンセル率を減少させる.このことは低ゴナドトロピン性無月経はそれ以外の排卵障害例よりゴナドトロピンに良好な反応を示すことからも裏づけられる.GnRHアゴニストを併用しても改善しないpoor responderに対しては大量のhMGやpure FSHの使用,成長ホルモンの併用などが試みられているが,まだ確立された治療法はない.
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