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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科49巻8号

1995年08月発行

コラム 新しく始める人へのアドバイス

未知なる生命現象に対する真摯な態度が求められている

著者: 野田洋一1 濱田浩明1 林嘉彦1

所属機関: 1滋賀医科大学産婦人科学

ページ範囲:P.1030 - P.1030

文献概要

 IVF-ETがはじめて世に登場した頃,試験管ベビーとして大々的にマスコミに取り上げられ,また医術は神の領域を侵すのか?といった議論が盛んになされた.しかし,無事生児が誕生しその発育過程においても異常が認められず,また他の数多くの施設でもこの生殖介助術が行われ,同様な結果が得られるに従い,そのような議論もあまりなされなくなった.多くの児の誕生という結果が方法論の是非の論議さえも凌駕してしまった感がある.
 だが,今日に至るまでわれわれが知り得た生命現象について知識は決して多くはない.近年の分子生物学的研究方法の発展は生殖分野において多大な貢献を来たしたが,今なお未解決な問題はたくさんある.我々の行おうとしている操作がまだまだ未知なる生命の誕生という神秘な領域への操作であるという意識はつねに持たなくてはならない.生命現象に対する深い畏れ,畏敬の念をもって研究者は取り組まなくてはならないと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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