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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科5巻10号

1951年10月発行

文献概要

症例研究

脛骨轉移を來した子宮腟部癌の1例

著者: 安武豊志男1 木多泰正1

所属機関: 1慶應義塾大學馨學部産婦人科教室

ページ範囲:P.408 - P.410

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緒言
 發癌素因については今日尚解決されていないが婦人の乳腺及子宮が好適の發癌臟器であり癌が發育蔓延する時は局所組織竝に臟器ばかりでなく近接せる結合織リンパ節血管神經腹膜骨組織内に蔓延侵蝕しそれが次第に擴大するにつれて,局所症状から遂には全身症状を發現するに至る。Offerg—eldは健康なる生體に於ては蛋白融解酵素の如きものが血栓を形成する癌細胞を死滅せしめるが惡液質乃至合併症にて生體の抵抗力が減弱した時は之を死滅せしめる事が出來ず癌細胞は増殖を續行するものであると云いBorstは此の關係を傳染性疾患に於ける細菌と被感染體の個人的素質乃至抗菌力との關係に全く等しいとしたのであるがかゝる状態は既に安藤教授が夙に指摘せられた如く癌腫症(Carcinose)と稱すべきものであつて,恰も母草から四散した種子が好適の土壤に落着發芽するか如く原發釜より遊離したる癌細胞は血行或はリンパ行を介し又は接種傳播をする等全身到る處に好發部位を得て増殖蔓延する。故に發癌好適環境にあれば既に原發臟器を手術的に摘出しても再燃し或は再發し恰ら原發臟器を有する場合と合じく轉移を行う。余等は子宮腟部癌の根治手術後6ヵ月にして骨盤結合織内に扁平上皮癌が再燃した上に脛骨轉移を來した症例を經驗したので報告追加しようと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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