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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科5巻12号

1951年12月発行

雑誌目次

原著

子宮癌照射療法と感染

著者: 御園生雄三 ,   山下修 ,   中村敏紹 ,   本橋武夫

ページ範囲:P.477 - P.482

前がき
 子宮のラジウム,レントゲン合併照射療法に當り,感染による發熱は,患者は元より吾々治療擔當者を常に悩す所のものである。その幣害は,手術時に於けるそれに劣ることなき程のものであると考えられるが,これが防遏は從來も種々講ぜられてるが,仲々困難なことである。吾々はこれに對して,臨床的,細菌學的觀點から次の實驗を試みた。

とのさま蛙を使用する妊娠反應(定性及定量)に就いて(第1報)

著者: 綾延明

ページ範囲:P.482 - P.486

緒言
 最近數年間に試みられた妊娠診斷法は,10數種類に及ぶが,それ等の大部分は尚検討の餘地を残すものと思われる。
 然るに,1947年Maininiによつて報告された雄ヒキガエル(Bufo arenarum Heusel)に依る妊娠反應は多くの特長を有し,1948年以來吾國に於ても追試が相次いで行われて,その優秀性を實證する事が出來たが,これらの大部分はヒキガエルに關するものであつて,吾々にとつてもつとも入手容易なトノサマガエル(Raua nigromacula—ta Hallowell)についての詳細は僅か神保,藤本大畠等の報告を見るのみであつてしかもこれについての定量的検索は殆どなされていない。本反應の特長の一つである簡易性,經濟性からすれば,トノサマガエルの使用はより一層合理的であると考え,基礎的資料の蒐集及び定量實驗に着手した

アクチゾール及び數種色素劑による卵管疎通檢査法の比較研究

著者: 出口喜男

ページ範囲:P.486 - P.488

 本編の内容は,昭和25年9月30日,第5回日本産科婦人科學會長崎地方部會に於いて發表した。また,この研究の實施に當たつては,厚生省治療研究費交付金に據つたので,此處に記して謝意を表する。
 卵管疎通検査に色素剤を應用する方法は,Georg Speck (1948)のPhenolsufonphthalein 法に始まる。我國に於いても,Speckとは別個に三谷教授(1949)のindigocarmineによる新法を發表しその機構は全く同一である。之を"chromo—tubation"と名命して爾來我國に於いて幾多の追試及び變法の報告を見つつある。

妊婦の赤血球沈降速度に就て—第1報 赤血球沈降速度の分布の型に就て

著者: 小名木正夫

ページ範囲:P.488 - P.492

 妊娠時の赤血球沈降速度(以下血沈と略稱する)が亢進し,且妊娠の進行と共に増加することは多くの人により言われていたのが其推測の根據は漠然とした感じ,或は妊娠の各進行度に就ての集團即ち妊娠月數等により區分した各集團の算術平均を以てした。一方血沈値の分布の幅は廣く算術平均を求めて見ても無意味であると言う人もあつたが之等は敦れも血沈値が正規型の分布をするとの假定を無意識に或は又意識してのことである。
 余は改めて其分布が如何なる型に屬するものかの檢討を試みた。

戰爭が新生兒の體重と哺乳量に及ぽせる影響に就て

著者: 村山茂

ページ範囲:P.492 - P.495

緒言
 今次の大戰,特に戰爭末期より戰後に亘つて,我が國の食糧事情は逼迫し,社會情勢の不安は甚しいものがあつた。この間に於ける母體の榮養状態の低下,精神の不安,勞働量の増加等が戰後に於ける新生兒の初體重と哺乳量並に母體授乳量に如何なる影響を與え,又戰後前半期より後半期に亘り,その値が如何に推移したかを調査した。尚お之と戰時中のものとを比較考察した他,帝王切開による新生兒の哺乳量並に授乳量についても調査した。戰時或は戰後の新生兒初體重に關しては井上,鈴木,橋本,衛藤,三浦,木下,Clement A.Smith等の報告があるが,何れも戰爭の影響による新生兒初體重の減少を認めている。
 又新生兒の哺乳量に關しては,既に戰前本邦に於て多くの發表を見,又戰後に於ては,中島,衞藤,橋本,桑原,小澤等の發表があるが戰後の新生兒の哺乳量が如何なる變化を受けたかについては未だ發表されていない。以下私は主としてこれらの點に就いて調査して得た成績を述べる。

境界領域 内科から

月經と體温との關係に就て

著者: 田坂定孝 ,   前田正治

ページ範囲:P.496 - P.503

緒言
 體温の問題,殊に,微熱に關する活發なる論議の展開は古今の内外の文献によつて數多く紹介され,又,極めて多彩なる研究業績が諸家により詳述されて來たのであるが,あらゆる角度から此の重要なる問題を觀察し,検討を加えた場合には,現在尚未解決の點が如何に多く残されているかということを痛感させられるのである。
 微熱問題を云々するに先立つて,健康人の所謂正常體温に關しての一般的検索が如何に重要な課題として取上けられねばならないかという事は論をまたな處である。

推計學

推計學算法(XII)

著者: 宮信一

ページ範囲:P.504 - P.509

§母百分率の信頼限界
 この講座の第1回に天下りに百分率の信頼限界を例に取つたが,今回はこの算法を學ぶことにする。この計算を利用した發表はかなり我々の領域の論文の發表にも見受けられるので,こゝこは算法の順序を示すに止めることにしよう。此の算法を學んで第1回の信頼限界の項を再讀して戴けば意味が一層明かになろう。

検査室

Rh式血液型檢査法について—日本の現況に於ける母兒免疫の血液型學的檢査法

著者: 野田金次郞

ページ範囲:P.510 - P.513

まえがき
 K.Landsteiuer & A.S.WienerによるRh式血液型の發見(1940)は,其後多數の學者の研究の結果血液型學と臨床醫學との強力なつながりを再現した事は多言しない程知れわたつた事實である。
 では,産婦人科學領域に於て問題となつている血液型學的事項はといえば,Erythroblastosis foetclisとRh式血液型との關係,Icterus neo natorum praecos (I.Halbrecht:1944)とABO式血液型との關係,更にABO式血液型の不過合によるErythroblastosis foetalis等があり,又或る種の小兒の麻痺とRh式血液型との關係についても研究が進められ,これらに關して多數の業績が報告されている。

診療室

附屬器炎殊に卵管溜膿腫手術に於ける癒着剥離の一方法

著者: 林桂三

ページ範囲:P.514 - P.514

 廣汎な癒着を有する附属器炎殊に卵管溜膿腫の剔除手術に於ては癒着の剥離法は各人の好みや長ずる所に從い各人各樣であつて一定の方式がない樣である。成書には附屬器の剔除術式として内向法と外向法を區別し,癒着の輕い場合は内向法により,癒着の廣汎且つ強靱な場合は外向法によつて剔除を行うと説いている。また外向法には子宮切半法及び子宮斷頭法ありて先づ子宮體を遊離して移動性となした後,癒着を基底部から外面に向つて剥離し附属器を遊離して剔除すると述べこいる。實際子宮切半法及び子宮斷頭法は甚だ便利な方法であるのでこれを利用するものが多く,その結果子宮腟上部切斷術が必要以上に行われているのが現状である。この手術を受けるものは比較的若年者に多く,また最近腟上部切斷後不感性を訴えるものも少くないことが注意されているので,この種の手術について一考すべきであると思う。事實この手術を受けて若年者でホルモン缺落症状を訴えて外來を訪れる患者が少くない。
 私は廣汎な癒着を有する場合でも必ずしも子宮切半法又は斷頭法を必要とせず,次の方法によれば癒着せる腸管や輸尿管等を傷つけず比較的容易に癒着を剥離し,附屬器を剔出することが出來ると考え,興味ある方にすすめたいと思う。手術の方針としては他側附属器の變化が輕度である場合は一側の附屬器のみ剔出する樣に心がけている。

抄録

外國交献抄録

著者: 齋藤 ,   辻井 ,   佐藤

ページ範囲:P.515 - P.517

子癇,流産,胎盤早期剥離時の乏尿の原因
 O'Donnell & MichはAm.J,Obst & Gynec.Vol 61.1951,に上記の表題について次の如く述べている。子癇流産,胎盤の早期剥離の時は屡々腎障碍を伴い,中には著明な尿量減少を示すものがある。ミシガン大學病院で最近20年間に乏尿を伴う上記疾患の剖檢を夫々5,3,1例を經驗したので病理學的に乏尿の病因について考察を試みた。
 子癇の腎の病變について我々の認めたのは糸毬體の貧血,増大とその毛細管壁の肥厚であつた。子癇の場合の乏尿は糸毬體及び曲細尿管の高度の貧血によるのではなくて糸毬體の毛細管壁の肥厚の結果,濾過面積の減少,濾過能率の低下を來す事が主な原因であろうと考えられる。之は腎血流が正常又は増加しているのに反し毛毬濾過率が減少していると云う諸家の報告にも合致するものである。

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人工妊娠第一子

ページ範囲:P.518 - P.518

 七五三のお祝い,おじいちやんとご一緒に千歳飴を持つたところをパチリと撮りました。人のよさそうな上品なおじいちやま,そう云えば何處かで見たような顔--ヤ,ヤヤ………これは失禮,安藤先生じやありませんかいいおじいちやま振りで恐れ入りました。
 「オイオイ君,何も恐れ入ることはないさ,この孃ち やんはネ,君,日本で非配偶者間に出來た人工妊娠の 第一子なんだよ,昭和24年8月1日のお誕生でネ,今 日の七五三のお祝いにこうして元氣でお詣りしたとこ ろさ,人工妊娠だから無論フアーターはわからないこ とになつてるが,日本では僕の教室だけで50數例が首 尾よく妊娠,そのうち19名が既に出産している。この お孃さんがつまり日本に於ける人工妊娠の第一子と云 うわけだが,外國ではずつと以前から數多くの例があ る。しかも何れも且つ誰もが父親も家族のものも非常 に滿足していると云うことは,社會的にみてネグレク トできないことだと思う」 既に人のよいおじちやまの影はなく,嚴肅な安藤晝一教授の講義である。

「臨床婦人科産科」第5卷 總索引 昭和26年

ページ範囲:P. - P.

科別索引
婦人科
結核菌(Sclerotonia Libertiara)抽出液の子宮作用 に關する研究 1號…13,2號…56
成人子宮圓靱帶の神經分布 1號…22

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

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69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

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69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

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今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

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