icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科5巻12号

1951年12月発行

診療室

附屬器炎殊に卵管溜膿腫手術に於ける癒着剥離の一方法

著者: 林桂三1

所属機関: 1小倉記念病院産婦人科

ページ範囲:P.514 - P.514

文献概要

 廣汎な癒着を有する附属器炎殊に卵管溜膿腫の剔除手術に於ては癒着の剥離法は各人の好みや長ずる所に從い各人各樣であつて一定の方式がない樣である。成書には附屬器の剔除術式として内向法と外向法を區別し,癒着の輕い場合は内向法により,癒着の廣汎且つ強靱な場合は外向法によつて剔除を行うと説いている。また外向法には子宮切半法及び子宮斷頭法ありて先づ子宮體を遊離して移動性となした後,癒着を基底部から外面に向つて剥離し附属器を遊離して剔除すると述べこいる。實際子宮切半法及び子宮斷頭法は甚だ便利な方法であるのでこれを利用するものが多く,その結果子宮腟上部切斷術が必要以上に行われているのが現状である。この手術を受けるものは比較的若年者に多く,また最近腟上部切斷後不感性を訴えるものも少くないことが注意されているので,この種の手術について一考すべきであると思う。事實この手術を受けて若年者でホルモン缺落症状を訴えて外來を訪れる患者が少くない。
 私は廣汎な癒着を有する場合でも必ずしも子宮切半法又は斷頭法を必要とせず,次の方法によれば癒着せる腸管や輸尿管等を傷つけず比較的容易に癒着を剥離し,附屬器を剔出することが出來ると考え,興味ある方にすすめたいと思う。手術の方針としては他側附属器の變化が輕度である場合は一側の附屬器のみ剔出する樣に心がけている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら