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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科5巻2号

1951年02月発行

雑誌目次

原著

胎兒赤芽細胞症とAB因子

著者: 膳所美光

ページ範囲:P.45 - P.49

緒言
 1940年Landsteiner and WienerがRh式血液型を發見して以來,胎兒赤芽細胞症の成因が明かにされ,その90%がRh因子にあることは改めて説明する迄もなく多數の交献より認められるところであるが,その成因説より考察すれば,Rh因子のみならず,他の血液型因子に依つても起り得ることは明白で,事實AB因子,Hr因子等に依り起つた例が時折報告されている。勿論これらは稀であるが一般にRh因子の方にのみ魅せられて,AB因子等に依る場合には氣付かないようで,Wieuer,Wexler and HurstやBrancato等は大いにこの事を指摘し,彼等の例を詳細に發表して注意を喚起している。すなわち前者はBRh+の夫を持つORh—の婦人か2回BRh+の新生兒を分娩し,その第1兒は異常なく,第2兒が胎兒赤芽細胞症であつた例に於て,抗Rh抗体は發見されず,抗B抗体價が抗Aに比し著しく高くなつていたものと,ARh+の夫を持っORh+ の婦人が2回分娩し,第1兒はARh+で異常なく第2兒が胎兒赤芽細胞症であつた例に於て抗A抗体價が抗Bに比し著しく高くなつていたものとの2例を經驗し,これはAB因子の免疫に依るものであると報告した。

性腺刺戟ホルモンに對するアンチホルモンに就て

著者: 安藤晴弘 ,   早津淸二 ,   上野福壽 ,   小林修

ページ範囲:P.50 - P.53

緒言
 動物に性腺刺戟ホルモン(Gonaclrophin,以下Gと略記す)を注射すれば,その生物學的反應としてこれに拮抗する物質即ち抗性腺刺戟ホルモン(Aatigonadotrophin,以下anti-Gと略記す)が生じ,或はその量を増し,Gの作用は一程度阻害されることはCollip一派1)(1934)により發見されたが,以來多數の研究により,家兎白鼠マウス犬,猫等の實驗動物に於てはGで所置した動物の血清を介して,卵巣,子宮の萎縮排卵の抑制,性周期の停止,流産等を來すことは一般によく知られている。人に於ても妊馬血清,Gに對してはanti-Gが生ずると云う報告が多數ある2)3)4)が家畜の前葉,Gに對しては必ずしも一致した成績は無く,或者は出來るとし5),或者は出來ぬとしている6)又妊婦尿G即ち同種のGに對しては一般にanti-Gは出來ぬと云う意見が多い。6)7)8)又Tailer及びLeathem2)(1940)は羊の前葉エキスと妊婦尿Gの混合製劑であるSynapoidinを長期に亘り使用した場合,患者の血清中にanti-Gは出來ぬと云つている。

人子宮頸管内膜の周期性變化

著者: 原田輝武

ページ範囲:P.54 - P.56

緒言
 卵巣において産生される2種類の性ホルモン,即ち卵胞ホルモン並びに黄体ホルモンの婦人性器に及ぼす影響については,既に種々知られている。これ等の2種のホルモンは,排卵を中心とした所謂卵巣周期によつて律せられているので,これ等の支配を受ける器官もまた,周期的な影響を蒙ることは勿論である。就中,子宮体部内膜に及ぼす影響は特に周期性に繰返される月經出血と云う顯著な現象によつて,外觀的に特徴づけられているが,その本質は内膜の増殖並びに分泌の2作用で,その目的は受精卵の着床である。受精の行われる條件として,腟に射出された精子が排卵後一定時間の壽命しかない卵子に到逹しなければならない。

菌核菌(Sclerotinia Libertiana)抽出液の子宮作用に關する研究(2)

著者: 糸永健次郞

ページ範囲:P.56 - P.59

第2章 ウサギ生體子宮における實驗
 第1節 菌核菌の子宮作用
 菌核菌0.01cc/kgをウサギ耳靜脈に注射するに何等作用は認められない。0.05cc/kgにては輕度の緊張上昇を來し,0.1cc/kgにては緊張上昇,振幅増大をきたし,0.3cc/kgにては著明な緊張上昇,振幅増大があらわれ,3〜4分後には緊張は正常時に歸るも振幅の増大は7〜10分間持續する(第8圖參照)。0.5cc/kgでは緊張の上昇更に強く,3〜4分にして緊張下降し始め以後は振幅のみ増大し,約10分にして正常に復す。又菌核菌0.2-0.3cc/kgを5分間おきに數回反覆注射するも常に同様の亢奮を示し,作用の減弱ないし消失は認められない。

妊娠末期に於ける新生兒の身長及び體重を主とし之等と母體身長,妊娠子宮底の長さ並に最大腹圍との諸種の相關關係並に偏相關に就て(その2)

著者: 明石政雄

ページ範囲:P.60 - P.64

第4節 偏相關
 第1項 妊娠子宮底の長さと母體身長と新生兒の  體重との偏相關に就いて。
 1)新生兒の體重を一定にせる場合の母體身長と妊娠  子宮底長との偏相關係數。

強力カネォミノファーゲンCに依る婦人科疾患特に腰痛並に瘙痒に對する治療成績に就いて

著者: 山田滿寬 ,   淸野完治

ページ範囲:P.64 - P.66

緒論
 腰痛乃至下腹痛は内科外科神經科領域でも日常最も屡々訴えられる症候であるが産婦人科で各種の諸疾患にも亦頻繁に見る主訴である。吾教室昭和12年1月1日より同21年12月31日迄滿10ヵ年間の婦人科外來患者3810例の統計(新村194811))に依れば腰痛を主訴とする者最も多く1291名(38.88±0.52%)(第1表)に及び,下腹痛は1056名(27.71±0.48%)で實に第3位を占める。Martius 19392)は腰痛の原因は子宮後轉症,子宮内膜症,月經困難症,結合織炎及び骨盤腔腫瘍によるものが最も多いと謂うが教室の統計(新村19473))では(第2表)殆んど大部分の婦人科疾患に亘つて高率に主訴となつている。
 飜つて疼痛發現の機轉は未だ必ずしも充分には解明せられてはいないが,一般には知覺神經に物理的乃至化學的刺戟が加わりこの刺戟が脊髓後索・視丘を經て大腦皮質の知覺感受帶即ち所謂疼痛中樞に達して初めて疼痛として感受されると考えられる。

子宮内膜炎のペニシリン子宮腔注入療法に就いて

著者: 鍋島光雄 ,   中野文子 ,   大久保壽 ,   吉永秀彦

ページ範囲:P.67 - P.68

緒言
 所謂子宮内膜炎は婦人科外來に於き最も屡々遭遇する疾患の一つであり,これの療法には從來より種々のものが擧げられている。而してその治療効果を納めるに仲々難澁なるは周知の所であるが,サルフア劑の進歩,殊にペニシリンの出現により,治癒轉歸が著しく短縮され,治療效果が甚だ良好となつている。
 しかしながら本疾患の如き一局所に限局されたものに對しても,一般に行れるペニシリン投與法は局所有效濃度を長時間保持するための全身的投與法であり,從つて大量のペニシリン浪費を伴ふは言を俟たない。

推計學

推計學算法(II)

著者: 宮信一

ページ範囲:P.69 - P.72

§χ2—分布の應用
問題1
 骰子を20回投げたら偶數の目が15回出た。この骰子は偶數の目が出やすくはないか。

檢査室

精液の檢査法

著者: 山口哲

ページ範囲:P.73 - P.74

 不妊の原因の20-40%は明に精液の異常に基因するといわれているが,詳細な檢査を行えば更に多くのパーセントを占めるものと思われるとMeakerは述べている。從つて男性の檢査特に精液檢査を行うことは不妊症治療の第1歩であるということが出來る。
 以下私共が日常外來患者に對して行つている精液檢査法の概要を述べる。

診療室

妊娠時期及び分娩豫定日の推定—特に分娩豫定日表と妊娠暦計算尺とに就て

著者: 藤井久四郞

ページ範囲:P.75 - P.78

分娩豫定日の推定
 分娩日を確實に推定出來ないことはいうまでもないことで此處で取りあげようとは思わない。われわれは基礎定温曲線,Farrisのネズミ・テスト頸管粘液の性状變化などを利用しうるけれども排卵日及び受胎日を確かに捕えることは未だ出來ない。したがつて受胎日からの妊娠持續日數は嚴密には不明である他,分娩豫定日もわからない。それにもかゝわらず臨床的には多くの場合に最終月經の第1日からおよそ280日目を分娩豫定日と假定することがひろく行われている。しかし,いわゆる分娩豫定日なるものの意味を心得ているからわれわれは日常の診療室ではNaegeleの概算法を採用していても特に不便を感じていない。すなわち,これによると最終月經の第1日に7日を加えるが,太陽暦には月の大小があるために,妊娠持續日數は280日よりも1-3日超過して281-283日になつている。

シモナルト氏羊膜索による腦ヘルニヤの1例

著者: 水野哲義

ページ範囲:P.79 - P.80

緒言
 種々なる畸形の文献は左程稀なものではないがシモナルト氏羊膜索による奇形は東西の文献にも極めて少く,且つ,胎生學上,竝びに,奇形學上興味があるもの故,貴重なる1例として,報告する。

衛生統計

婦人科關係新國際疾病死因分類について

著者: 瀨木三雄

ページ範囲:P.81 - P.82

(3)1933〜1943年(昭和8年〜昭和18年)
(4)1947〜1949隼(昭和22年〜昭和24年
(5)1950年より(昭和25年) 梅毒及びその續發症(020-029)020 先天梅毒
021 早期梅毒

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海外文献

著者: 塚田 ,   星野

ページ範囲:P.83 - P.84

難症機能性月經困難症に對するメチールテストステロンの排卵前期投與
 William Filler,M D.Jacksou Heights,N.Y.
 著者は月經困難を主訴とする患者のうち所謂機能性月經困難症の範疇に屬するものに對しメチールテストステロンを排卵前期に經口的に投與して月經時の疼痛の消失又は緩和に著しい效果のあつた事を 22例の臨床觀察により次の如く報告している。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

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