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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科5巻4号

1951年04月発行

雑誌目次

綜説

基礎體温

著者: 松本淸一

ページ範囲:P.131 - P.135

第1章 月經周期に關連した體温變動に    關する基礎體温以前の業蹟
 1818 Borden,1861年Fiedlerは夫々月經時に體温が變動することに着目していたが,Squire(1867),Troussean (1868),Wunderlich (1869),Rabutean (1870),Henniug (1870)等が月經前に上昇且月經開始と共に下降する體温變動に氣付いて以來,此の現象は一般の注意を引くに至つた。その後Jacobi (1876),Goodman (1878),Sinety(1884),Reine (1884),Schirareff (1889),von Ott (1890),Johnstone (1896),Giles (1897),Gebhard (1898),Wendeler (1899),Fehling (1900),Murchy (1901),Van de Velde (1905)等は月經周期に關連した體温の變化を測ると同時に,脈搏,尿素排泄,或は血壓,基礎代謝,呼吸代謝等も測定して,月經周期間に於けるそれらの變動曲線を作つた結果,婦人の諸生理現象は月經と共に周期的に波状を描いて變動し,體温も亦之に件つて變動するという所謂婦人生活現象波動説を樹立し,上述の月經前期體温上昇を生理的なものと認めた。

原著

人子宮頸管内膜の周期性變化(3)

著者: 原田輝武

ページ範囲:P.136 - P.140

第2篇
子宮頸管内膜の組織學的周期
緒言
 成熱婦人の性管各部の内膜に於ける周期性變化の組織學的研究は概ね確立された觀があるが,只一つ,子宮頸管内膜の周期性變化については未だ決定するに至つていない。即ち,子宮體部内膜についてはHitschmann並にAdller (1908年)3)の劃期的發見以來,多數學者の追試に依る追加,補遺が加えられ,就中Schröder4)5)6)(1915年)の研究報告により全くその周期性變化が確立せられた。膣粘膜についてはDierbs (1927年)35),卵管内膜についてはNovab並にEverett (1928年)36)子宮峽部内膜についてはSchroder並にNürnberger(1928年37),此等の諸家の業績が顯傳せられ,一應周期性變化は決定されている。

産婦人科領域に於ける感染疾患のGantronに依る治驗

著者: 藤井吉助 ,   松谷進

ページ範囲:P.140 - P.143

 最近優秀なナルファ劑,ペニシリン,ストレプトマイシン,など相次いで發見され,感染による疾患の治療に有効に應用されつつある。
 然し或る種の病原體に起因する疾患の治療には,遺憾の點があるのは事實である,又サルファ劑に就いては,副作用に關して不滿の點がないではない。

ペニシリンの新投與法としての羊膜腔内注入に就て

著者: 河崎正也

ページ範囲:P.144 - P.147

緒言
 最近ペニシリン(以下Pcと省略)に關する臨床的研究のうち,Pcの血中濃度測定に關する報告は多々あるが,臍帶血及び羊水中Pc量の測定實驗は比較的少ない。
 即ち1946年にJonh及びNolzは6例の妊婦に術前にあらかじめPcを投與しておいて,腹式子宮摘出術を行つた際に,卵膜を穿刺して羊水を採取し,又胎兒の組織を亂切してあふれでる組織液を採取しPc量を測定し,胎兒へのPcの移行を觀察したことを報告しておる。一方我國に於ては,慶應の齋藤中山兩氏の發表業績をみるのみである。

サドル麻醉による無痛分娩(第2報)

著者: 森新太郞

ページ範囲:P.147 - P.150

緒言
 著者は第1報として從來外科方面で用いられていた0.3%Percmin-S (比重1037)を使用してサドル麻醉による無痛分娩法を述べ結論として,麻醉がサドル部分に限局した所の所謂サドル麻醉の際が,無痛分娩として最も良い條件である事を述べた。ただ中に麻醉が上昇して普通腰麻の範圍に擴がるものが若干あつたので更に今度はPe—rcaminの比重及注射方法の研究により一層確實にサドル麻醉となり得るものを得ようと試みた。斯る藥液及注射方法が發見出來れば誰がやつても確實にサドル麻醉となり,又之れを分娩時の無痛法として應用すれば理想的なものであると信ぜられる。著者は此の目的のために先づ各種比重の異つた藥液を用意し,又種々變つた注射様式を予め定めて置いて之れを産科小手術—人工流産手術に實驗し,その成績より見て最も良いと思われた藥液と注射方法を實際に無痛分娩法として使用した°

症例研究

稀有なる成熟胸部癒合體の1例

著者: 松浦鐵也 ,   持丸文作

ページ範囲:P.151 - P.153

緒言
 全分娩數の1〜3%を占めると云われる畸形の報告は其の數誠に多く,重複畸形に關しても敢て奇とするに足らないが,本畸形は一般に早産を來すことが多く,從つて体重二体にて3kgにも滿たざるものが大部分であり,然も尚種々の産科手術を必要とするものが多い。然るに最近吾々は從來報告せられたる重複畸形中最大の体重を有すると思われ,然も一助産婦により母体,胎兒共に何等の損傷も受けずに娩出せしめ得た成熟胸部癒合体の1例を得,産科學上興味深いものがあると考えるので茲に報告する。尚重複畸形の形態學的分類病理解剖學的檢討,原因論等に關しては,Veit,Schlaube,Marchand,等の詳細なる研究があり,本邦に於ても篠原,澤井,徐,等の發表がある。

大出血を來した子宮腺筋症の1例

著者: 二川述人 ,   加藤靖夫

ページ範囲:P.154 - P.155

緒言
 子宮腺筋症(子宮体壁内膜症)は屡々子宮筋腫と合併し又はそれのみで見られるものであり,又間質性子宮筋腫と診斷され易い傾向にある。臨床上多數の文献報告例があるけれども,殆どが月經困難症を主訴としているものであり大出血を示したものは殆ど見當らないように思われるので茲に報告した。

境界領域 内科から

妊娠と消化器障害

著者: 高橋忠雄

ページ範囲:P.156 - P.158

 産婦人科醫にとつて必要な内科領域の問題についての記述を編集者から需められた。醫學の諸部門は一方では益々細かく分化し專門化していると同時に,他面では各科の研究面なり診療の方面なりに,共通の問題も少からす起つて來つつあるように思われる。從つて,そういう見地からすれば以下に私が述べようとするような事は,實は産婦人科醫の方々にとつて周知の問題であり,しかもその實地上の經驗は,私などの及びもつかない深いものがあることが想像される。そのような危櫻を抱きつつも,敢て筆をとつた次第であることを御了承願いたい。先づ消化器疾患から記述をすすめて行きたい。

推計學

推計學算法(Ⅳ)

著者: 宮信一

ページ範囲:P.159 - P.163

§正規分布の概念
 第1表は一定期間に於ける100匹の豚の体重増加(單位ポンド)を,増加の小さいものから大きいものゝ順序に,通し番號をつけて排列したものである。このまゝでは今後の考察に不自由なのでこれを適當な幅に分け,第1圖のように整理して圖表を作つてみた。第1圓は幅即ち級間(class interval)を5ポンドにして,之をいくつかの階級(class)に分けたもので,このような圖表を柱状圖表(histogram)と呼んでいる。
 第1圖では横軸に記された或るポンドの級間に何匹の豚が入つているか,豚の度數(frequency)を左側の縦軸に目盛つてある。ところで或る級間に入る豚の全体の豚即ち100匹に對する割合即ち相對度數(relative frequency)で今の結果をあらわすことが出來よう。我々の例で18〜22ポンド及び23〜27ポンドの豚は夫々13匹と15匹であるが,これを全体に對する比率即ち相對度數で表せば0.13及び0.15と表されよう。第1圖の矩形の上の數字は度數を,( )の中の數字は相對度數をあらわしている。そして右側の縦軸は相對度數を示す目盛である。

診療室

子宮腟部筋腫に就て

著者: 塚本信一 ,   佐藤孝

ページ範囲:P.164 - P.166

緒言
 子宮腟部筋腫は稀有なものであり,又屡々子宮腟部に固有な形態を失う事に依り,他の疾患と誤診される事がある。余等は姙娠3ヵ月に合併した其の1例を經驗したので,以下本邦文献の考察を加えて報告する。

豫報・速報

性中樞への藥劑並にホルモンに依る刺戟と排卵

著者: 小林隆 ,   小林拓郞

ページ範囲:P.166 - P.166

 所謂"性中樞"が間脳の一定部位殊に視丘下部にある事は種々な臨床的並に實驗的研究から殆んど疑う餘地がない。而して間腦を最上位の中樞として前葉,卵巣を含めた3者が密接な機能的の環をなして性周期を自動的に調節しておる事が推定される。然し今日性中樞への性器側からの上行性或いは逆行的反應機序に就いては日尚淺く不明の點が多い。私は斯る性中樞への刺戟機序を明らかにすべく次の諸實驗を行つた。

産婦人科領域に於ける血漿蛋白質の成分分布に關する研究

著者: 福井靖典

ページ範囲:P.167 - P.167

 最近蛋白質代謝の研究が盛になつて來たが,血漿蛋白質の成分分布に關しての研究は比較的殘された感があるので本研究に着手した。先づ妊婦は動もすれば諸種の代謝機能に變調を來たし色々な病的状態に移行する。かかる病的状態に於ける血漿蛋白質の成分分布の消長を追求し,それが臨床的に果して如何なる價値並に意義を有するかを知ろうとするに當り正常妊婦に於ける血漿蛋白質の成分分布を知る必要を思い,之が研究を行つた。
 Fiseliusの電氣泳動裝置を使用する事にした。實驗條件は總て蛋白泳動研究會實施規定に基づいたものであり,又値は下降値を採用した。總蛋白量は日立製作所の蛋白屈折計を使用した。

腟壁の卵胞ホルモン吸收について

著者: 齋藤幹

ページ範囲:P.169 - P.169

 腟壁の性ホルモン吸收についてはMilan Berger Palmer,Dodds,Zondek,原田,小名木,和田等が直接,間接的に種々な動物及び臨床實驗を行つた。

檢査室

小川培地による婦人性器結核の診斷(第2報)—子宮内膜頸管及腟内容物中の結核菌培養に於ける小川培地と岡,片倉培地との比較

著者: 水谷佐

ページ範囲:P.168 - P.169

両培地の處方
比較の方法
 (1)子宮内膜は診査掻爬片を概ね3等分し,1片を組織學的檢査に廻し,殘り2片を夫々小川培地岡,片倉培地に用いた。即各1片を夫々滅菌乳鉢で細碎し,それを小川培地では5倍量の1〜4%苛性曹達水で處理して,その0.1c.c.宛を4本の1〜3%培地に植え,岡,片倉培地では5倍量の0.1%イスラビン加4%硫酸水で處理して5〜20分後毎分3000廻轉5分間遠沈し,沈渣を塗抹培養した。
 (2)頸管乃至腟内容物は2等分して小川培地では5倍量の4%苛性曹達水で處理して3%培地に0.1c.c.宛4本植え,岡,片倉培地では5倍量の0.1%イスラビン加4%硫酸水で處理遠沈後沈渣を塗抹培養した。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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