豫報・速報
馬尿酸合成試驗に於ける安息香酸値の圖表計算
著者:
佐藤彰一1
澄川豊1
大塚英郞1
所属機関:
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
ページ範囲:P.288 - P.289
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馬尿酸合成試驗による肝機能檢査はQuickにより始められ以後肝機能を定量的に評價し得る點に於て多く用いられる樣になり,我が領域に於ても特に本邦にては長内及び高橋により取り上げられ産科的に婦人科的に應用せられているのである。その操作は簡單であり,得られる成績の精確な點に於ては他の種々なる肝機能検査に比し優れるとも劣らぬものと考えられるのである。この方法にては一定濃度の安息香酸ソーダ溶液を静注し1時間後に得られる尿中の馬尿酸の重量と尿量とから逆に安息香酸の重量を推算しその得られた安息香酸の重量の多寡により肝機能を推定するのであり重量大なれば肝機能良好であり,小なれば肝機能不良であると言うのである。勿論これらの手技及び馬尿酸重量及び尿量よりの安息香酸重量の算出はさして複雜ではないのであるが,多數例につきこれを行う場合にては最後の馬尿酸重量と尿量よりの安息香酸重量の推計算はかなり手間のかゝるものであり,從つて誤算をひき起す恐れなしとしない。依つて著者等はこの計算を圖式により行うことを考え新たに計算圖表を求め多數例に使用しこの優れた肝機能檢査の手數をはぶくことを得たるにより大方諸賢の參考に供したいと思い發表する。