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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻10号

1996年10月発行

連載 シリーズ 胎芽の発育と形態形成・10

消化器系の発生

著者: 塩田浩平12

所属機関: 1京都大学医学研究科生体構造医学講座(形態形成機構学) 2京都大学医学部附属先天異常標本解析センター

ページ範囲:P.1241 - P.1243

文献概要

 胎生第4〜5週に,羊膜腔が胎芽を側方および頭尾方向から包み込むように発達し胎芽が屈曲foldingするのに伴って,卵黄嚢の一部が胎芽の体内にとり込まれて,頭方の前腸foregutと尾方の後腸hindgutができる.両者の中間にある中腸midgutは,はじめ卵黄嚢に広く開いているが,やがて中腸と卵黄嚢を連絡する卵黄腸管が閉じると,ここにひと続きの原始腸管primitive gutができる.前腸前端の口咽頭膜oropharyngealmembraneが4週に,後腸下端の肛門膜analmembraneが8週頃に破れて羊膜腔と交通する.腸管内腔の上皮(将来の消化管粘膜上皮)は内胚葉に,消化管と付属腺の結合組織ならびに平滑筋は臓側板中胚葉に由来する.消化器系の神経叢内にある自律神経系の細胞は,神経堤由来である.
 胎生5週以降,腸管が卵黄腸管の部位を中心に回転しながら長くなり,腸管ループを形成していく.6〜9週には,腸管が腹腔内に収まりきれないので,中腸の一部が臍帯内へ脱出して生理的臍帯ヘルニアphysiological umbilical herniaを作る.これが体腔へ戻らず,出生時に腹部内臓が臍輪から外へ脱出している場合には,これを臍ヘルニアumbilical hernia (臍瘤omphalocele)という.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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