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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻11号

1996年11月発行

文献概要

今月の臨床 不妊治療—ここが聞きたい 排卵誘発

9.PCOSの排卵誘発法としてはなにが適当か?

著者: 桑原章1 苛原稔1 青野敏博1

所属機関: 1徳島大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1384 - P.1387

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PCOSに対する排卵誘発法の問題点
 PCOS(多嚢性卵巣症候群)に対する排卵誘発法の第一選択は現在のところクロミフェンである.経口排卵誘発剤であるクロミフェンは安価で副作用も少ない.クロミフェン単独療法(hCG併用を含む)の排卵率は50%前後,妊娠が成立する症例は全体の10〜30%と報告されている1).裏を返せば,クロミフェン療法で卵胞が発育しない症例が50%近く存在し,排卵するものの妊娠には至らない症例も多いことになる.したがって診療上問題となるのはクロミフェンが無効なPCOS症例に対する排卵誘発治療の選択である.多くの方法(表1)があるが,実際一定の選定基準がないため迷うことも多い.
 ゴナドトロピン療法は排卵誘発効果が高いが,多数の卵胞が同時に発育し卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多胎妊娠を招くことがあり問題となっている.近年,ゴナドトロピン療法に工夫を加えた有効かつ副作用の少ない治療法の効果が報告されている.また最近,自然周期と同じ卵胞発育が期待できる腹腔鏡下手術による排卵誘発法も見直されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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