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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻11号

1996年11月発行

文献概要

今月の臨床 不妊治療—ここが聞きたい 子宮内膜症

2.子宮内膜症に対してGnRHアゴニストを用いた場合,どの時期に妊娠しやすいか?

著者: 斎藤理恵1 岩下光利1

所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1400 - P.1400

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 子宮内膜症と不妊症との関係を正確に疫学的に見ることは困難であるが,子宮内膜症を合併した婦人の30〜40%が不妊であり,不妊症例の6〜15%が子宮内膜症を主原因としていると考えられる.
 子宮内膜症に対してGnRHアゴニストを使用した後の妊娠率に関しては多くの報告があり,子宮内膜症の進行度で成績が異なってくることが報告されている.そのうちのいくつかを紹介すると,内膜症婦人の妊娠率は,腹腔鏡下での診断でR—AFS I期の軽度の内膜症では待機群での妊娠率も25%と高く,GnRHアゴニストによる治療後の35%という妊娠率との有意差は明らかではない.R-AFS II〜III期の場合は,GnRHアゴニストによる治療群のほうが待機群より妊娠率が高い傾向にあり,R-AFS IV期の重症例では治療の有無にかかわらず妊娠率は低い1).R-AFS分類I〜II期の婦人の自然待機群とGnRHアゴニスト治療群での18か月間の累積妊娠率は治療法や治療の有無による有意差はなかった2)との報告もある.したがって,軽微な子宮内膜症の場合は自然待機が,臨床症状を伴った中等度〜重度の内膜症にはGnRHアゴニストによる治療が望ましいと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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