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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻11号

1996年11月発行

今月の臨床 不妊治療—ここが聞きたい

子宮内膜症

4.腹腔鏡を使わないで子宮内膜症を診断した場合の正診率は?

著者: 星合昊1

所属機関: 1近畿大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1402 - P.1403

文献概要

 子宮内膜症は,従来強度な月経困難症など痛みを主訴とする疾患であり,不妊を伴う場合も大部分は治療困難な症例であった.しかし,不妊症の診断に腹腔鏡検査が積極的に行われるようになると,疼痛を伴わない子宮内膜症が多数発見されるようになり,子宮内膜症と不妊1-3),子宮内膜症と痛みとの因果関係が改めて考え始められてきているが,すべてを説明できる定説はない.現在では骨盤子宮内膜症は疼痛と不妊を主訴とする疾患であるといわれている.疼痛には,月経困難症,下腹痛,腰痛,性交時痛,排便痛などの自覚症状がある.疼痛を主訴とする例でも重症の例では不妊を伴うことが多い.一方,不妊症を主訴とし疼痛を訴えない例であっても腹腔鏡検査を施行すると30〜60%の頻度で骨盤子宮内膜症が確認される.臨床進行期(Re-AFS分類)による重症度と月経痛などの疼痛の重症度には相関がない4).他の臨床症状では,月経過多症は臨床進行期にとくに一定の傾向は認められなかったが,不正出血,性交痛,排便痛は重症例に多い傾向がある.
 このような現状を鑑み,日本産科婦人科学会子宮内膜症診断基準設定委員会での検討の結果,子宮内膜症は開腹か腹腔鏡等直視下で診断しなくてはならないとの結論を得た.しかし実際には,挙児希望のない子宮内膜症に全例腹腔鏡を実施することの臨床的困難さも考慮しなくてはならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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