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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻11号

1996年11月発行

文献概要

今月の臨床 不妊治療—ここが聞きたい 免疫性不妊

8.どのような患者に抗リン脂質抗体を測定するのか,ループスアンチコアグラントの測定法は?

著者: 安達知子1

所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1458 - P.1460

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抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipidantibody syndrome:APS)とは
 抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies:APA)と血栓症との関係は,1963年にSLE患者に対しはじめて報告されたが,現在APAは,SLE合併の有無にかかわらず血栓症の大きなリスクファクターであると同時に,習慣流産(反復流死産)の発症要因の1つであることが知られている.APAによってこれらの病態が引き起こされやすいことから,APSの概念が生まれてきており,種々の診断基準の内容の検討と変更が行われ,1990年には表1に示すような診断基準1)となった.すなわち,臨床症状として,血栓症か習慣流産か血小板減少症の1つを示し,検査所見として,APAのうち,中〜高力価の抗カルジオリピン抗体(anticardiolipin antibodies:ACA),またはループスアンチコアグラント(lupus anticoa—gulant:LAC)のどちらか1つが,3か月以上離れた少なくとも2回の検査で陽性であることが必要である.
 しかし,いまだAPAの測定系は統一されておらず,病態と種々の測定法の評価が行われている現状である.また,反復流死産患者で低力価のACAを示す患者の取り扱いなどは検討課題であるため,APSの診断基準もさらに改変されていく必要があり,流動的であると考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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