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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻11号

1996年11月発行

今月の臨床 不妊治療—ここが聞きたい

体外受精

3.過排卵刺激の際にOHSSを防ぐためにどのような黄体刺激法がよいか?

著者: 山崎淳1 山野修司1 青野敏博1

所属機関: 1徳島大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1475 - P.1477

文献概要

 卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimula—tion syndrome:OHSS)は過排卵刺激に伴う最も重篤な合併症であり,代表的な医原性疾患である.体外受精—胚移植(in vitro fertilization andembryo transfer:IVF-ET)が不妊症の一般的な治療法として普及するにつれてゴナドトロピン製剤による過排卵刺激の機会が増加した.その結果,近年OHSSの発生数は増加し,過排卵刺激の約1%前後に重症例が発生し,本邦でも血栓症による死亡例が報告されるなど,重大な問題となりつつある.
 多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syn—drome:PCOS)ではOHSSを発生しやすいため,以前よりさまざまな卵巣刺激法が開発されてきた.近年,桑原ら1)はFSH-GnRH律動投与療法を応用した単一卵胞排卵法を開発し,PCOS症例においてOHSSの発生頻度を減少させることに成功している.しかしIVF-ETでは成功率を維持するために複数個の成熟卵を得ることが必要であり,卵巣の軽度の腫大は必要悪として容認されている.したがって,IVF-ETの卵巣刺激を行う際は,①OHSSを起こしやすい患者を選択し,卵巣の腫大が過大にならないようにゴナドトロピンの投与量や方法を変更する,②卵巣の腫大がみられたら重症化を防ぐ,などふたつの対策を講じる必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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