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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻12号

1996年12月発行

文献概要

症例

Multilocular Peritoneal Inclusion Cystの1例—その治療法に関する考察

著者: 武内享介1 望月眞人1 北沢荘平2 中嶌一彦3 北垣壮之助3 古結一郎3

所属機関: 1神戸大学医学部産婦人科 2神戸大学医学部第2病理学 3千船病院産婦人科

ページ範囲:P.1615 - P.1618

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 Multilocular peritoneal inclusion cyst (MPIC)は嚢腫様の中皮増殖を主体とする多房性の非上皮性嚢胞で,既往の腹部手術による腹膜の障害を原因として発生するとされている.今回,再発をきたしたMPICに対して経腟超音波下に穿刺後,ダナゾールによる卵巣機能抑制にて再発を防止し得た症例を経験した.症例は50歳で単純子宮全摘術後,1年前に卵巣腫瘍にて開腹術を施行,組織診断ではMPICであった.今回初診時,超音波,CTで7×llcmの多房性嚢胞を認め,MPICの再発を疑った.経腟超音波下にダグラス窩より嚢胞を穿刺吸引し,嚢胞液中に反応性中皮細胞を確認した.その後外来にてダナゾール投与を1年間施行し,3年9か月時点で再発を認めていない.MPICは頻回手術の原因ともなるので,腹部手術後に認められた腫瘤に対してはその可能性の考慮が必要である.経腟的嚢腫穿刺と薬剤による卵巣機能抑制の組み合わせはMPICに対する治療の選択肢として位置づけられ,その長期的効果の検討をする必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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