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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻3号

1996年03月発行

連載 シリーズ 胎芽の発育と形態形成・3

器官形成期

著者: 塩田浩平12 上部千賀子2

所属機関: 1京都大学医学研究科生体構造医学講座(形態形成機構学) 2京都大学医学部附属先天異常標本解析センター

ページ範囲:P.235 - P.237

文献概要

 受精後第3週までの胎芽は板状に近い形をしているが,第4週にはいると,胎芽の形が大きく変化する.脳胞が発生して頭部が膨らんでくると同時に,羊膜腔が急速に大きくなって胎芽全体を背方から包み込むようになるので,胎芽は棒状となり,さらに,胎芽の頭尾方向への屈曲foldingによって,第4週終わりには胎芽はC字形を呈する(図1).体節はその数を増し,第4週終わりには体節数が30近くに達する.胎芽が屈曲する際、卵黄嚢の一部が胎芽内に取り込まれて管状となり,消化管の原基である原始腸管primitive gutを形成する.体外の卵黄嚢は,やがて消失する(図2).
 第4週中頃には頸部側面に鰓弓が現われ,その週の後半には,体表から4対の鰓弓が認められる.第4週後半から第5週にかけて,上下肢の原基(上肢芽upper limb budsと下肢芽lower limb buds)が出現する.第5週以降,心隆起cardiac promi—nenceと肝の膨大が著明となり,また,脳胞が発達して頭部の大きさが増してくる.第6〜7週には,網膜に色素上皮が発現し,第1鰓弓と第2鰓弓によって外耳が形成される(図3).上下肢ともに長さを増して,指,肘,膝が明瞭になる.手と足では,指間陥凹が深くなり指が分離する.第8週終わりまでに主要な器官形成organogenesisが行われ,ヒトとしての外形がほぼできあがる(図4).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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