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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻3号

1996年03月発行

今月の臨床 産婦人科とウイルス感染

産道感染

3.パピローマウイルス

著者: 是澤光彦1

所属機関: 1神奈川県立こども医療センター周産期医療部産科

ページ範囲:P.268 - P.270

文献概要

 パピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)は,尖圭コンジロームの原因ウイルスとして知られていたが,約10年前より子宮頸癌との関連で注目を集めている.パピローマウイルスには70種以上のタイプが知られており,そのなかでtype 16,58,52,18,31が子宮頸癌との関連が深いとされている.これらのタイプのDNAが異形上皮の90%以上から見つかっている.逆に女性性器におけるHPVの頻度についての調査では,救急外来患者1,573名の4.4%,妊娠中絶患者623名のうち148名(8.8%),スメア異常でコルポスコピー検査に来院した472名の31.4%にHPVが発見された1).このように子宮頸癌の危険が高い群に有意に高頻度でHPVが発見されている.これにより,HPVは子宮頸癌において非常に重要な役割をもつものとして研究が続けられており,子宮頸癌のみでなく,内膜癌や卵巣癌の一部,さらに乳癌についても報告がある.
 HPV感染の有無の診断については,電子顕微鏡を含む形態学的な検査法と,パピローマウイルスのDNAをみつける方法,パピローマウイルスに対する抗体を検査する方法がある.ウイルスの型まで同定するには,DNAをみるか,抗体法が必要である.診断はかなり容易に確実になってきたが,治療は難しく,レーザー焼灼・薬物焼灼,切除などが行われるが,再発率が高い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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