icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻3号

1996年03月発行

今月の臨床 産婦人科とウイルス感染

分娩と授乳

1.HTLV-I

著者: 安藤良弥1

所属機関: 1和歌山県立医科大学付属病院紀北分院

ページ範囲:P.272 - P.276

文献概要

 HTLV-I(ATLV)は,ヒトT細胞リンパ腫・白血病の原因となるウイルスであることが報告されて以来,その感染経路ならびに感染防止策について精力的に検討が行われてきた.その結果,感染経路については,疫学調査とともに感染者を中心とする家族内感染の実態調査をもとに,このHTLV-I感染者には地域的偏在性があり,また加齢とともに感染者が増大している実態が判明した.
 一方,家族内感染者の検索から,このウイルスは,きわめて濃厚な接触を持つ個体間においてのみ感染が成立し,夫婦間においては夫から妻への一方向性感染を認めるとともにHTLV-Iに感染している母親から子どもへの感染の存在も証明された.したがって,このような感染系を持つHTLV-Iは,単なる母児感染ウイルスとしてではなく,STD(Sexually transmitted disease)としての側面をも有していることも事実である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら