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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻4号

1996年04月発行

文献概要

連載 シリーズ 胎芽の発育と形態形成・4

顔面の発生

著者: 塩田浩平12 上部千賀子2

所属機関: 1京都大学医学研究科生体構造医学講座(形態形成機構学) 2京都大学医学部附属先天異常標本解析センター

ページ範囲:P.363 - P.365

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 第4週に,頭部前端部の隆起である前頭鼻隆起frontonasal processが大きくなり,口窩stomodeumにかぶさるように突出してくる.同時に,口窩は,側面を上顎隆起,下方を下顎隆起(ともに第一鰓弓)によって囲まれる(図1).第4週終りから第5週初めにかけて,前頭鼻隆起の前外側部で,前脳の誘導によって皮膚外胚葉が肥厚し,鼻板nasal placodeが形成される(図2).間もなく鼻板の中央部が陥凹して鼻窩nasal pitができるが,これが外鼻孔の始まりである(図3).鼻窩が深くなると同時に,その周囲の組織が肥厚して馬蹄形に隆起し,その馬蹄形の先端が内側鼻隆起medial nasal processと外側鼻隆起Iateralnasal processになる(図4).
 内側鼻隆起は外側鼻隆起よりも発育が速く,内側鼻隆起は外側から発達してきた上顎隆起と癒合して,ここに上口唇の基礎ができる(図5).また,左右の内側鼻隆起が中央部で癒合して,ひと続きの上口唇が形成される(図6〜8).左右の内側鼻隆起が癒合してできる前上顎部(前上顎口蓋,前顎骨)premaxillaから,上口唇正中部および人中philtrum,一次口蓋primary palateができる.なお,内側鼻隆起と上顎隆起が癒合する際には,癒合部位の上皮にプログラム細胞死(アポトーシスapoptosis)が起こる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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