臨床婦人科産科50巻5号

1996年05月発行

症例

選択的子宮動脈塞栓術が有用であった頸管妊娠の1例

著者： 葛西真由美¹ 黒田ゆかり¹ 細谷地昭¹ 今井俊彦¹ 飯田肇¹ 鈴木博¹ 石川一郎² 佐々木康夫² 西島光茂³

所属機関： ¹岩手県立中央病院産婦人科 ²岩手県立中央病院放射線科 ³西島産婦人科医院

ページ範囲：P.731 - P.735

文献概要

　頸管妊娠は未産婦に多い傾向があり，しばしば妊孕性温存が望まれる、このため，近年では，MTX（Methotrexate）を中心とした化学療法による保存的治療も試みられるようになってきた．しかし，胎児心拍陽性例あるいはhCG高値例では，大出血をきたし，保存的治療が無効である症例も多い，今回われわれは，未産婦の胎児心拍陽性頸管妊娠に対し，まず，子宮温存を第一に考え，選択的子宮動脈塞栓術を行うことにより止血をはかり，その後に子宮頸管内容清掃術を施行した．さらに．残存villiに対してはMTX投与による補充療法を行った．その結果，ほとんど出血することなく早期に完治させることができた症例を経験した．また本症の診断においては経腟超音波検査のみならず，MRI検査が非常に有用であったので報告する．