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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻6号

1996年06月発行

今月の臨床 妊娠と自己免疫疾患

自己免疫疾患をもつ妊婦の管理

1.甲状腺疾患(バセドウ病,橋本病)

著者: 網野信行1 多田尚人1 日高洋1

所属機関: 1大阪大学医学部臨床検査診断学

ページ範囲:P.771 - P.773

文献概要

 甲状腺機能異常を起こす代表的な疾患はバセドウ病,橋本病といった自己免疫性甲状腺疾患であり,若年女性にもよくみられるものである.これらの疾患がうまく管理されていない場合,妊娠の可能性や経過に少なからず影響が及ぶことはよく知られている.しかし,これは甲状腺ホルモンそのものの増減による影響であって,甲状腺ホルモンさえうまく正常化できれば健常人と変わりない結果が期待できる.しかも自己免疫そのものの治療は困難であるが,甲状腺機能のコントロールは慣れれば比較的容易である.甲状腺に対する自己免疫(とくに自己抗体)自体による悪影響を示唆する報告は皆無ではないが,一般には認められていない.甲状腺機能は,健常妊婦においても妊娠中の内分泌的・代謝的な変化のために揺動が起こりうるので,判断を誤らないよう注意が必要である.
 自己免疫性甲状腺疾患は,妊娠中の軽快・出産後の増悪がもっとも明らかにみてとれる自己免疫疾患のひとつである.ホルモンの増減としてあらわれるため自覚症状からも検査上も見いだしやすいからである.出産後の増悪はとくに出産後自己免疫性甲状腺症候群と総称される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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