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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻6号

1996年06月発行

今月の臨床 妊娠と自己免疫疾患

クリニカルポイント

2.フロッピーインファント

著者: 新井ゆみ1 大澤真木子1

所属機関: 1東京女子医科大学小児科

ページ範囲:P.816 - P.818

文献概要

 「フロッピーインファント」とは,筋緊張が低下しているため,体が柔らかくぐにゃぐにゃしているように感ずる状態の乳児をさす(図).患児を臥位の自然肢位で観察すると,四肢はだらんと床についたままで動きは少ない.また,患児の両手を持ち引き起こすと,頭部は後方に垂れ,両上肢は伸展したままで肘は屈曲しない.患児を腹臥位で腹部を支え水平に持ち上げると,体幹は逆Uの字状に屈曲し,頭部,四肢ともにだらんと下垂する反応を示す.原因としては表1に示すように,筋疾患以外にも脊髄を含む中枢神経障害(頭蓋内出血,脳奇形,脊髄性筋萎縮症など),染色体異常症,代謝性疾患(甲状腺機能低下症,ミトコンドリア病など),結合織異常症など多種の疾患があり,「フロッピーインファント」はいわゆる症候名である.
 ところで,母体が自己免疫疾患に罹患している場合,IgG型の自己免疫抗体が経胎盤的に児に移行し,胎児または新生児に種々の症状を引き起こすことはよく知られている.例えば全身性エリテマトーデス,自己免疫性甲状腺疾患(橋本病,Basedow病),特発性血小板減少性紫斑病,重症筋無力症などである.しかし,これら疾患の中で出生児が「フロッピーインファント」を呈するのは重症筋無力症であるので,ここではとくに重症筋無力症母体より出生した児に関して詳述することとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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