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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻7号

1996年07月発行

今月の臨床 乳房—管理のポイント

乳汁分泌

2.早期授乳と母児の絆

著者: 山内芳忠1

所属機関: 1国立岡山病院小児医療センター第1小児科

ページ範囲:P.882 - P.884

文献概要

 分娩直後の母親のとる行動には共通性がみられる.母親はまず指先でそっと,次いで手で児の四肢,体幹にふれ,そして児を胸に抱き,乳首を含ませる行動をとる.この行動のパターンは,ほぼ一定しており,母親による差が少ないことが報告されている1).このような行動,つまり母性行動は育児の原点であり,生後における母と児の絆の確立の始まりでもある2).この母性行動を小林1)は母子関係の精神心理的な側面を文学的に表現したのが「母と児の絆」であり,小児科学的には「母子結合の成立した状態」と表現している.母子結合は母性が確立する面(母親がわが子に対して愛情をもつ)と,わが子が母親に対してもつ愛情(アタッチメント)が完成する面との2面がある.母子結合の成立は,母児間における感覚を介しての行動のやりとり,情報交換によって行われるとされ,これを母子相互作用と呼んでいる.したがって,このためにも母と新生児が,分娩直後からできるだけ長く,密着した状態で一緒にいられるように配慮することが最もたいせつである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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