文献詳細
文献概要
今月の臨床 婦人科腫瘍境界悪性—最近の知見と取り扱いの実際 最近の知見
4.外陰境界悪性病変
著者: 柏村正道1
所属機関: 1産業医科大学産婦人科
ページ範囲:P.1016 - P.1019
文献購入ページに移動 子宮頸部の境界悪性病変については,異形成(Dysplasia)や上皮内癌(Carcinoma in situ)あるいはこれらを抱括した上皮内腫瘍(Cervical Intraepithelial Neoplasia:CIN)として数多くの研究があり,その病態は確立されているが,外陰の境界悪性病変については症例も少なく,十分な検討が行われていないのが現状である.外陰部の境界病変を理解するためには,用語の歴史的変遷を知ることが重要である.外陰の非腫瘍性病変には,従来より数多くの病名が使用されてきたが,同一の病変に対して異なる病名が使われることも多く,1975年,International Society for the Study of Vulvar Disease(ISSVD)は,ジストロフィー(Dystrophy)という概念を導入した(表)1).このジストロフィーは,従来の硬化性苔癬,外陰萎縮症,白斑症,増殖性外陰炎を抱括するもので,硬化性苔癬と増殖性ジストロフィーに分類され,後者はさらに異型を伴うものと伴わないものに分けられた.
掲載誌情報