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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻8号

1996年08月発行

文献概要

連載 OBSTETRIC NEWS

脳性麻痺の予知に電気的胎児心拍数モニタリングは有用なのか?

著者: 武久徹1

所属機関: 1武久産婦人科医院

ページ範囲:P.1084 - P.1085

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 1862年に外科医Littleが「脳性麻痺の原因は分娩経過にある」と述べて(Trans Obstet Soc Lond3:293,1962)以来,1970年代まで100年以上この考えが強く支持されてきた.したがって,分娩中に胎児低酸素症を発見し介入すれば,胎児低酸素症による多くの分娩外傷,とくに脳性麻痺(CP)や知能発育遅延を防げるという希望から,胎児心拍数(FHR)モニタリングが採用されてきた.そして,電気的FHRモニタリング(EFM)が導入されて以来20年以上,11の無作為試験が行われたが,周産期死亡や新生児神経学的長期予後に,EFMが聴診法より大きな恩恵を与えるということは証明されていない(Annu Rev PublicHealth 8:165, 1987:Paediatr PerinatEpidemiol 2:299,1988;Birth 21:101,1994).さらに,ある一定のFHRパターンと新生児神経学的長期予後の関連を証明する無作為試験もまだ紹介されていない.
 Nelsonらはサンフランシスコの10以上の施設で1983〜1985年に分娩した155,636例中,単胎,2,500g以上で3歳の生児のうち中等度〜高度CPの児95名の中から78名(CP群)とCPではない児300名(対照群)を対象に分娩証明書や医学記録から異常FHRパターンとCPの関連の有無を調べた.両群とも全例分娩中EFMが行われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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