icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻9号

1996年09月発行

文献概要

今月の臨床 新生児診療—産科医のためのポイント 分娩室内ケアの再評価

1.出生直後のFirst aid

著者: 中田高公1 工藤尚文1

所属機関: 1岡山大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1110 - P.1111

文献購入ページに移動
呼吸の解発
 出生時に第1呼吸を引き起こす機序についてはまだ必ずしも明らかになっていないが,動脈血酸素分圧の低下,動脈血炭酸ガス分圧の上昇,pHの低下,胎児血中カテコラミンの増加,皮膚への物理的刺激などが重要な要因であるといわれている.
 まず胎児は産道通過時に胸郭を圧迫され,成熟児で40〜50mlのlung fluidが絞り出される.そして,圧迫されていた肺が胸郭の弾性で再びふくらみ,肺胞に空気が入る(第1呼吸).その際,気相,液相の界面が生じるとそこに表面張力が働くが,それに打ち勝って肺を広げるためには50〜60cmH2Oという高い圧が必要となってくる.その後,肺を開いたままの状態に保つことができるのは,成熟した肺にはサーファクタントが存在し,表面張力を低下させているからである.続いて児は,声門を少し閉じてオギャーと泣き声を出す(第1啼泣).それによって呼気に陽圧が加わり,より均一に肺胞を開くことができる.すなわち,第1呼吸により空気を吸い込み,第1啼泣により肺の中の空気分布を均一にして肺全体を開くのである1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?