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今月の臨床 新生児診療—産科医のためのポイント 分娩室内ケアの再評価
4.気道確保と吸引操作の工夫
著者: 平野秀人1 磯部京悦1 田中俊誠1
所属機関: 1秋田大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.1118 - P.1119
文献購入ページに移動1.吸引操作
分娩時の吸引操作は,安定した呼吸の確立のために必要である.すなわち娩出時に,口腔,咽頭内に多量の羊水,産道内分泌物,血液(母体)を貯留したままでは,異常のない新生児でも出生直後の啼泣時に,貯留物を気道内に吸入して,その後の換気に悪影響を及ぼすことがある.とくに胎児仮死の徴候があったり,さらには羊水が混濁している場合においては,胎便吸引症候群を念頭においた対応が必要である.すなわち,その発症を予防するため,あるいは程度の軽減をはかるために,先述した口腔内・咽頭内の吸引操作はもちろんのこと,引き続き喉頭を展開して喉頭・気管内吸引を行う.さらに状況によっては気管内挿管を行って,繰り返し十分な気道内吸引が要求される.その際の適切な処置によっては,仮死からの回復が早く得られ,合併症,後遺症から免れる.しかし対応が不十分な場合は,悲惨な予後につながる可能性もあり,吸引操作ならびにどの程度の操作を必要とするかの判断力を養うことは,分娩に立ち会う産科医の必須項目である.
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