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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科50巻9号

1996年09月発行

今月の臨床 新生児診療—産科医のためのポイント

分娩室内ケアの再評価

5.出生時の計測と異常発見のためのスクリーニング

著者: 堀内勁1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院周産期センター

ページ範囲:P.1120 - P.1122

文献概要

 過去においては安全管理があまりにも強調されすぎる傾向にあったため,正常分娩であってもハイリスク分娩・ハイリスク新生児の取り扱いに準じて扱われる傾向が強かった.母子関係の発達への理解とともに,出生直後の母子の扱い方への見直しが徐々にではあるがなされてきている.分娩に際し母体および胎児にはストレス反応としてカテコールアミンが大量に分泌される.そのためそれぞれの脳幹網様体が刺激され,母親は数時間,新生児は30分〜1時間ほどはきわめて強い覚醒状態が持続する.この間の母子の接触は母子の絆形成に強い影響を与える.すなわち母親語といわれる特異な抑揚をもった高い声での母親の語りかけに反応して,新生児は母親の目をじっと見つめる.もしこの際に母親の裸の胸に新生児をうつぶせにおけば,乳頭を吸啜することも知られ,母親の情感を強く揺さぶる.したがって出生直後のローリスク新生児の計測,診察,沐浴などのルーチンはこのあとに行うべきであり,分娩室で唯一必要なことは仮死・呼吸障害の評価となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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